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« ⑧神経の変性≠痛み(その5) | トップページ | ⑩物理的な圧迫≠炎症の発生 »

2011/12/24

⑨髄核の脱出≠圧迫

《トップページ》
椎間板ヘルニアに対しては、 『神経が圧迫されることで痛みが出る』 と説明されることが多いと思いますが、これまで再三にわたって申し上げてきた通り、「神経の圧迫だけ」では痛みという感覚にはなりません

このことはヘルニアの臨床実験でも証明されています。 ヘルニア手術の際、圧迫を受けていない正常な神経の直下にバルーンを仕込んでおいて、麻酔から覚めたあとにその風船を膨らませるという実験をすると、患者さんは重だるいしびれ感を訴えるだけで痛みは感じません

圧迫と麻痺の関係も従来考えられているほど軽易でないことが分かっています。圧迫の程度と症状が必ずしも相関しない症例があるからです。これは物理的な圧迫レベルだけが神経の変性を決めているわけではないということを意味します。

ヘルニアにおいてはその場所や大きさ云々よりも、「神経がどうなっているのか」を考えることのほうがはるかに重要な問題なのです。

『神経に何らかの化学反応が生じて、そこに炎症が発生したあと、その炎症の回復過程において、交感神経の問題が合併すると、そこではじめて神経の変性が生じてくる』 そういう病態があるのではないかと、私は考えています。

椎間板ヘルニアはその形状から2種類に大別されます。椎間板そのものが膨らんでいるタイプと、椎間板の隙間から髄核が漏れ出したタイプです。ここではとくに後者について考えてみたいと思います。

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Herunia2_2

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ヘルニアの主である髄核はその7090水分という半透明のゲル状物質です。要は水分が多すぎて失敗したほとんど液状のゼリーかパンナコッタのようなものです。場合によっては“くず湯”といってもいいくらいです。

これが椎間板らせん状に密に配列した線維組織-の隙間から漏れ出している様を指して、現代医学は“ヘルニア”と呼んでいます。

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Pannakotta_2.

しかし、ここで少し想像してみて下さい。この現象がいったいどれだけのものだというのでしょう?

神経が硬い骨の隆起によって“圧迫”されているのであればいざ知らず、液状のパンナコッタがどんなにたくさん漏れ出てこようと、神経を麻痺させるほどの強大な圧力がかかるというのは、私にはどうしても想像できません。

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椎間板が真っ二つに割れて、そこから髄核本体がドーン!と丸ごと飛び出しているというわけではないのです。稀にこれに近いタイプのヘルニアもありますがその頻度は微々たるものであり、こうした事態を未然に防ぐことこそがヘルニアの存在理由…は「②ヘルニアは脊椎を守る防御反応」のページで申し上げた通りです 

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正座をすると神経が圧迫されてしびれることがありますが、麻痺が進行して歩行不能になり、そのまま病院に運ばれる人はいません。ひざの神経に上半身の体重-液状のパンナコッタの何百倍もの力-が加わっても、麻痺はおきないわけです。

正座で麻痺がおこるなら僧侶や棋士は全員病院送りになっています…。

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Seiza.

ひざの神経もヘルニアでの被神経も同じ“末梢神経”です。

鋭角に折れ曲がった状態でしかも数十キロの力が加わり続けるという過酷な圧迫にも耐える神経が、椎間板の間隙から漏れ出した半液状の流動物質に押された程度で麻痺をおこすというのは、私にはどうしてもイメージできません(神経幹の太さや被膜の違いを差し引いても、です)。

ですから、なぜ圧迫という言葉が使われているのかが、そもそも不思議でならないわけです。“接触”あるいは“接触病変による神経の変性”という表現ならまだしも…。

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私の想像力に問題があるのでしょうか?それとも椎間板ヘルニアを発見した研究者らの想像力が過ぎていたのでしょうか?

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少しうがった見方をすれば、研究者たちにとって予算研究費)を取り付けることは死活問題ですから、研究対象が「可視化されて誰の目にも判然としている」ほうがいいわけです。とくにアメリカではその傾向が顕著だと言えます。

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椎間板ヘルニアが発見された1930年代、すでにレントゲンはありましたがMRICTなどはありません。リアルな画像写真がない時代、居並ぶ学者たちを前にして研究費が下りるかどうかを決めるプレゼンをするとき、“接触”と表現するのと、“圧迫”と表現するのでは、受け取る側の印象はどうでしょう?圧迫と説明された方が断然インパクトがあります。

「なるほど、これが神経を傷めつけているのか」と思わず納得してしまうでしょう。しかもその事実が“世紀の発見”ということになれば、いかに怜悧明達の学者たちといえども…。

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翻って現代、MRIには神経が見事にへこんでいる様が映し出されます。しかし、これはあくまでも画像上のトリックです。

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  『生体の水分や脂肪分に含まれるH原子が帯びている微小な磁化を画像化する

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というMRIの性格上、常に映像精度の問題が横たわっており、MRI写真は決して実映像ではないということを忘れてはなりません。

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Hekomi.

加えて2次元画像の限界-横から見れば圧迫されているように見えても、真上から見れば圧迫されていない。あるいは真上から見れば圧迫されているように見えても、斜めから見れば圧迫されていないなど、さらに医師による診たての相違-MRI写真の病変を読み解く力には個人差があるといった問題もあります。

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神経根造影検査で“”(圧迫はない)と判明している症例のうち、約半数がMRIで“”(圧迫がある)になってしまうという事実も、MRIが過剰診断になっていることの証左だと言えます。

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こちら(ヘルニアの謎-画像診断の矛盾-で申し上げたとおり、正常人の7割以上にMRI上のヘルニアが見つかるという現実にあって、シャーカステンに並べられた、あの“へこみ画像”にどれだけの意味があるというのでしょう。

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1930年代にヘルニア手術の原型が確立し、やがて画像検査技術の発達とともにヘルニア研究には莫大な予算がつくようになりました。

しかし、その一方で、“へこみ画像”を見せつけられた患者さんたちがどれほど不安な気持ちにさせられてきたことか…。MRI写真上の神経だけでなく、気持ちまでも“へこまされ”…。

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はっきり申し上げて、椎間板がパンクして髄核本体が丸ごと飛び出すような超レアなケースを除き、髄核には麻痺をおこさせるほどの物理的な圧迫力はない、私は考えます。

だからこそ無症状のヘルニアがたくさん存在しているのです。もし本当に髄核に圧迫力があるなら、だいたいにおいて無症状のヘルニア(=MRIヘルニア)というものが存在するはずがありません

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とりもなおさず髄核は固体ではなく、あくまでも半液状の流動物質です。物質自体の強度を測定する実験を行えば、自ずと答えが出るはずです。神経とパンナコッタ、どちらが物質的に強いのか?

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もっとも実験するまでもないでしょう。ふつうに考えれば分かることです。もし神経がパンナコッタより弱い強度の構造物だったら、全力疾走した時点で人間は即“全身麻痺”です…。

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真面目な話、一般にニューロンは30mmHg以上の圧で圧迫されると軸策流が停止すると言われています。1mmHgとは500円玉を皮膚に乗せた時に感じる圧迫感と説明されます。

よって
30mmHgとは「500円玉を30枚!」重ねて乗せた際の圧迫力ということになります。

 

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どうですか?これでお分かりいただけたでしょう。どう考えてもそんな圧迫力をパンナコッタが生み出せるはずがないではありませんか!

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今回のポイントの整理!

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    ①髄核は半液状の流動物質にすぎず、稀な症例を除外すれば神経を麻痺させるほどの圧迫力は存在しない。

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    MRIによる画像は実写真ではない。映像精度、2次元画像の限界、読み手の能力という問題が常につきまとう。

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