BFI 研究会代表ブログ

フォト

三上のプライベートブログ(FB/避暑地の猫/音信普通)

カテゴリー

無料ブログはココログ
2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

« 7月23日BFI 技術研修会のご案内 | トップページ | ④BFI動的アプローチ(BFI-dynamic approach)-皮膚回旋誘導テクニック- »

2017/05/30

①BFI 入門編-脳にアプローチする治療家にとって絶対不可欠の心構え-

《トップページ》
➡①BFI 入門編-脳にアプローチする治療家にとって絶対不可欠の心構え-
➡②BFI テクニック序論-基本的な考え方および検査等-
➡③BFI静的アプローチ(BFI-static approach)-ルーティンテクニック-
➡④BFI動的アプローチ(BFI-dynamic approach)-皮膚回旋誘導テクニック-

➡⑤BFIの動画サイト(You Tube)-アップデートされるたび技術の一部を公開-
➡⑥H29年7月のアップデートおよび比較試験の結果報告


(※当記事はこちらのページと一部内容が重複しています)

BFI では脳原性(システム由来)による痛みをソフトペイン、肉体原性(組織の障害を知らせる)の痛みをハードペイン、両者の混成痛をハイブリッドペインと呼んで区別しています。

世界中に存在する、ありとあらゆる慢性痛の治療効果は“body(肉体)”という入口を通して、最終的に“brain(脳)”に働きかけた結果、脳内の運動系回路や感覚系回路の変化を反映したものであり、多くの臨床現場がターゲットにしている痛みはソフトペインだというのが私たちBFI研究会の捉え方です。

しかしご承知のとおり、こうした視点は現代医学にも一般大衆にも受け入れられておりません。

その理由はヒトのバイアスをはじめ種々要因を想定することができますが、最大の理由は脳科学よりも整形外科学の発展が先行してきた医学的歴史にあります。もしレントゲン博士の発見よりも先に、fMRIやNIRSのような脳機能画像検査が発明されていたなら、現代医学の常識はまったく異なるものになっていたでしょう。

さらに痛みという主観的体験が体温計や血圧計のように数値化されないという科学の壁もあって、これまで長い間ソフトペインという存在が覆い隠されてきたと言えます。

こうした背景もあって、現代医学においては外科系の現場がソフトペインを治療するという究極のミスマッチとも言える状況が長きにわたって続いているのです。

一般に外科系の医師がソフトペインを念頭に置いて治療に当たることは稀であり、そのほとんどが「ハードペインを治療している」というバイアス下にあります。

これをコンピュータ業界にたとえて説明すると、いかに異常な事態であるかを理解することができます。

パソコン業界におけるエンジニアは大きく2つに分かれます。ハードウェア・エンジニアとソフトウェア・エンジニアで、それぞれハード屋、ソフト屋と呼ばれたりします。

前者は文字通りハードウェア(電子回路やメカ外装)の設計、組み立て、修理などを行う専門家であり、後者はコンピュータ言語でプログラミングする-ソフトを作成する-専門家です。

私はパソコン門外漢ですので業界事情に精通しているわけではありませんが、ハード屋とソフト屋はそれぞれの役割が明確に分かれており、パソコンに発生した症状に則して適切な対応が取られていると思われます。

例えばHDDに問題が発生した場合、その原因が物理障害(機械的な故障)なのか、それとも論理障害(ソフトのエラー)なのかを見極めた上で、それぞれの専門家が対処しています。

このようにコンピュータの世界では役割分担が明確に、しかも正しくなされているのに対し、他方、医療界では先述したようなミスマッチが常態化しているというわけです。


以上を踏まえ、ここからようやく本題に入ることにいたします。

私たちの脳内には無数のアプリが入っていて、とえば視覚アプリ、聴覚アプリ、味覚アプリ、触覚アプリ、運動アプリ、血圧調整アプリ、体温調節アプリ等々、数え上げたら切りがありません。

これらのアプリには多かれ少なかれバグがあり、実は脳は五感の刺激を介して自らアップデートする営為を日々続けています。脳疲労の解消においても、認知症の予防や治療においても五感の刺激が大事だと言われる所以です。

当会がソフトペインを改善させるべく脳にアクセスするための技術BFI は、五感の中でもとくに触覚を重視しています。皮膚刺激を介して脳内の痛み回路(これもバグのひとつです)を別の形に書き換えるすなわち「痛みを出力させるプログラムを書き換えること」を目的としています。

したがってBFI は基本的にソフト屋が使う技術です。

脳というシステムにアクセスする際に大事なことは「技術ありきで介入すること」ではなく、「自らの介入が最適な仕組み(システム)となっているかどうかを省察し続けること」です。刺激の性質や刺激をインプットする場所(インターフェース)といった次元に関わる仕組みを構築しつつ、見直す作業を継続させることが大切なのです。

これこそがソフト屋の本質だと言えます。

当会の技術研修会はAKAをはじめとするその他多くの徒手医学関連セミナーと比べて、かなり異質です。他の同種セミナーに参加した経験のある方にとっては相当に異様な光景に映ることでしょう。

通常、徒手医学の研修会といえば、手技のマニュアルが確立されていて、参加者はそのマニュアルに沿って技術習得を目指すという流れです。

しかし、前述したとおりBFIという技術は脳内の神経回路-個別のプログラム(ソフトウェア)-を書き換えるための手段であり、言わば「脳内のバグを取り除くための修正プログラム」すなわちソフトウェアのごとき役割、性格を持つ技術体系であるため、技術の追加、修正、更新といった作業が欠かせません。


パソコンのハード屋はドライバーやはんだこてを使い、ソフト屋はプログラミング言語を使って仕事をします。医療のハード屋はメスやコッヘル、包帯などを使い、ソフト屋はニューロリハや認知行動療法、カウンセリングやBFIなどを使って仕事をします。

医療のソフト屋が使うのは脳に働きかけるための「ある種仕組みのようなもの(システム)」です。BFIという技術もシステムの一つであり、ソフトウェアのごとき性質を有するため、適宜アップデートされる蓋然性を有しているということです。

脳内のバグはいつも同じ場所に隠れているとは限りませんし、そもそも個体によってバグの性質が異なっていることが想定されます。そうしたバグを取り除く修正プログラム自体も常に修正と進化を続けていかなければ、複雑系の脳に対応することなど不可能です。

日々変わり続ける脳に対して、触覚を介して脳のアップデートを試みるBFIという技術もこれ自体が言わば“脳をアップデートするためのソフト”であり、ソフトである以上技術の中にも当然バグが含まれます。これを修正するためのアップデートは欠かせない必須作業だということです。

したがって当会が提唱している触覚同期ミラーセラピーも、BFI式マインドフルネスも、皮膚回旋誘導テクニックも、これらはすべて脳というシステムに介入するためのプログラムすなわちソフトであり、これらにおいてもバグを抱えています。

つまり技術そのものにも常にバグが潜んでいるため、定期的なアップデートが必要なのです。その機会こそが毎月開かれる技術研修会ということになります。


さらに新しいプログラムを作る作業も同時進行しているため、技術研修会はときに「ソフトの開発現場」となります。その場合、出席者は「バグ修正ソフト」の研究開発チームの一員となることを意味します。

ソフト屋としての道を歩むのであれば、「自分で考えて創造する」というプロセスが必須です。完成された商品(技術)を購入(習得)して、それを患者に提供することだけが目的という医療者はソフト屋に向きませんし、そもそもソフト屋になろうとは思わないでしょう。

脳という未知なる世界、深淵なる宇宙を知りたいという知的欲求がなければ、ソフト屋としてのモチベーションを持続させることはむつかしい。

脳にアクセスできる可能性を最大限に秘めている皮膚もまた、神秘的とも言えるほど不思議な臓器の一つです。その皮膚において、仮に離れたある部位への同時刺激が脳の可塑性を促すとして、その組み合わせの数は膨大であり、なおかつその刺激の質や強さの定量分析に関わる研究も果てしがない…。可能性は無限に広がっている…。

皮膚という扉を通して脳への侵入経路を探す営為は、言うなれば広大な海に沈む宝物を探すトレジャーハンターのようなもの。

当会に参加する医療者は基本的に「自分で考えて創造する」取り組みが嫌いでない方が多くを占めます。「原理さえ把握できれば、あとは自分でやれる」タイプです。

そういう方は一度研修会に参加して、開発現場の空気を感じるだけで、あとは己自身がソフト屋ひいては開発者(プログラマ)となって個々の現場で様々な脳と対峙すべく、自分なりのオリジナルを探究していく、そういう姿勢を持つ方が多いという印象があります。

中にはすでに優れたソフトをお持ちの方もおられます。つまりプログラマとしての高い能力を持っている方が少なくありませんし、こちらがドキッとするような鋭い指摘を受けることも多い。

当会はそのような方々との出会いを糧にして今日に至っております。全国にはそのような方がまだまだたくさんおられるはずです。

ただ、私たちがソフト屋あるいはハイブリッド屋として歩む道は間違いなく“いばらの道”です。ハード屋の論理は線形科学ですから常に「A→B」ならば「B→A」という1対1の整合性が担保されますが、ソフト屋ではそれが担保されません。

複雑系である脳において、その情報表現の仕組みが解明されていない脳において、そもそもクオリアや意識の発生メカニズムすら解明されていない脳において、痛みの生成機序に関わるあらゆる可能性(ニューロン、グリア細胞、神経ホルモン系、その他)を内包する脳において、その脳への介入手段は当然ながら多種多様に存在し得るわけで、方法論が一つに限定されないというむつかしさがあります。

原因は脳にあるがゆえに介入手段が複数存在し、常に新たな発見が世界中で報告されています(例えば全身鏡の前に立って、鏡に映っている自分の膝を双眼鏡で眺めると膝痛が消える場合がある等々)。

つまり複雑系を相手にしている困難さが常に付き纏うため、脳にアクセスするための技術、方法論に「唯一無二の絶対的介入」はそうそう簡単に見つかるものではないということです。

そのように困難な道であるからこそ、私たち同じOS(脳と痛みの関係を探究しようとする姿勢)を持つ治療家同士は互いの叡智を結集し、力を合わせていく必要があるのではないでしょうか…。




➡①BFI 入門編-脳にアプローチする治療家にとって絶対不可欠の心構え

➡②BFI テクニック序論-基本的な考え方および検査等-

➡③BFI静的アプローチ(BFI-static approach)-ルーティンテクニック-

➡④BFI動的アプローチ(BFI-dynamic approach)-皮膚回旋誘導テクニック-

.
➡⑤BFIの動画サイト(You Tube)-アップデートされるたび技術の一部を公開-

➡⑥H29年7月のアップデートおよび比較試験の結果報告





≪トップページに戻る≫


≪三上クリニカルラボ≫ ≪BFI研究会公式サイト≫ 

  

« 7月23日BFI 技術研修会のご案内 | トップページ | ④BFI動的アプローチ(BFI-dynamic approach)-皮膚回旋誘導テクニック- »

①BFI 入門編-脳にアプローチする治療家にとって絶対的不可欠の心構え-」カテゴリの記事