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なぜ“究極のタッチケア”なのか-BFIの特異的臨床意義-

2017/11/25

タッチケアとは何か?なぜ“究極のタッチケア”なのか-BFIの特異的臨床意義-

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欧米諸国を中心に広まっているタッチケア。その発祥については諸説あるようですが、現在のように医療看護の一分野として認識されるようになったのは米国マイアミ大学のフィールド博士による報告(育児触れ合いに関する研究)に拠るところが大きいと言われています。

世界にある主だったタッチケアを以下に紹介します(BFI研究会主催の講演会「脳疲労とタッチケア」で上映されたスライドより一部転載。クリックすると拡大表示)。

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Touchcare2   17

これらタッチケアの効果についてはスウェーデンを中心に西欧諸国で科学的検証が進められており、その原因物質として幸せホルモンと呼ばれる脳内神経伝達物質“オキシトシン”による作用機序が報告されています。

Okisitosin
脳科学や認知神経科学の進歩によって、タッチケアが脳内環境を改善させることが数々の実験によって示されています。タッチケアの効果がこれだけ広範囲に及ぶことは驚きであると同時に、いかに脳の働きが様々な病態に関わっているかを見事なまでに証明していると言えます。

にも拘らず、多くの医療現場はいまだ旧態依然としたハード論に終始しており、脳原因論(ソフト論)を直視しておりません。

とは言え、広義のタッチケア、あるいはタッチケア類似の施術は確実にその存在感を増しつつあり、日本においても、従来の矯正術をよりソフトな技法に変えて提供する施術者が増えつつあるようです(ただし、ソフトな施術をアピールしつつも、その病因論としてハード論を掲げる現場が圧倒的多数…)。

強刺激的な施術に潜む危険性が広く認知されるようになり、施術者たちの意識改革も徐々に進んでいるものと推察されます。「ほぐすべきは筋肉ではなく、脳である」という認識、理解に至る医療者も牛歩のごとくではありますが以前より着実に増えています。

慰安(無意識のストレス発散)目的に強刺激を求める世人が群がる施術現場を除き、通常の医療現場においてCRPS(RSD)や線維筋痛症などに代表される難治性の痛みが強刺激的介入によって解決したという話はあまり聞いたことがありませんし、そもそも強刺激に喜び、満足感を得る脳の持ち主は年々減少傾向にあるのではないかという印象があります。

その背景にある要因として、人類の刺激耐性の質が変化してきているのではないか、言い換えればヒトの脳の感受性能、情報解析システムが進化あるいは深化してより複雑化、より多様化しているためではないか、と当会は考えています。

情報化社会における急速な環境変化が人類の脳を変え始めているのでは…、という視点は論外に的を外しているとは思えません。前述した難治性疼痛の数々、うつ病や睡眠障害等々の増加がその証左と言えるでしょう。


このような中、脳にアクセスすることを目的とした徒手医学BFIは“究極のタッチケア”と呼ばれています。なぜ究極なのか?これを説明するためには、その開発過程を披瀝する必要があります。

回復期リハに革命を起こしたことで知られるAKA⁻博田法とANT(関節神経学的治療法)。この技術をCRPS(RSD)の治療に応用し始めたのが、BFIの出発点となっており、関節受容器へのアプローチが源になっています。

関節への刺激介入によって痛みや筋協調性が改善する理由について熟考を重ねつつ、あらゆる角度から臨床的な検証を推し進めていった結果、効果発現の場は“末梢”ではなく、“中枢”にあるという結論に達したのです。

ヒトの関節が単なる連結装置ではなく、高感度なセンサーの集合体であるという視点をベースにして、やがて運動器の情報解析を束ねる中枢システムに学術的焦点が移ることで、「体性感覚刺激による脱感作と再統合法」という概念に帰結しました。

とくに脳卒中に対するANTの効果、新鮮外傷に対するANTの効果、絞扼性神経障害に対するANTの効果、難治性関節拘縮に対するANTの効果がその結論を強烈に後押ししました。

その後の曲折を経て、治療ターゲットが明確に脳になって以降は臨床の意義が変質し、これにより事実上施術対象の制約が解かれました。

通院中の患者さんに見られるあらゆる変化に対して、できる限り先入観を排除して追究する姿勢を持つことで、想定外の治療効果、思いもよらない因果関係の可能性に気づくようになったのです。

そして今(2017年11月現在)、BFIの臨床効果は下記領域すべてに発現することが分かっています。

Bfiqqqsss
「脳の可塑性を促す」という視点に立って、既成概念にとらわれずに生体への徒手的介入を続けた結果、上記のごとき広範囲の臨床価値を見出すに至ったのです。

このように高い汎用性を示す徒手医学がこれまであったでしょうか?私の知る限りは見当たりません。

難治性の痛みに著効を示し、難治性の関節拘縮を改善させ、向精神作用を包含し、不眠を改善させ、認知症の不穏を劇的に解消し、気分障害をも改善させ、そして外傷の回復を速める…等々、こんな徒手医学は見たことも聞いたこともありません。

とは言え、効果発現のレベルだけで言えば、BFIよりも高いものは世界中にいくらでも存在するでしょう、おそらく…。

しかし、いくら効果の高い施術であっても、その病因論がハード論に終始していたのでは、肉体次元での考察に止まざるを得ないわけで、自ずとその治療観は狭いものになり、施術対象も限定されることになります。

ハード論の長所として、局面的には患者さんに理解されやすい点が挙げられますが、その一方で、施術の真の意義や価値を低めていると言えます。


BFIが究極と言われる所以は、やはり何といっても効果発現の場を脳に求めたベース理論にあると思われます。

しかし現代医学の診断哲学にあっては、骨格の検査技術が脳のそれに先立って発展したため、構造原因説(ハード論)が成書を支配してきました。fMRIの開発よりレントゲンの普及が先行したことで痛みの原因診断に“レ線バイアス”が入り込んでしまったのです。

さらにもうひとつ“ある問題”が…。WhatHowの違いを明確に意識し、さらにこの二つを切り離す視点の欠如…。

臨床におけるWhatとは「そもそも何なのか」、Howとは「どのように介入するか」という視点です。つまりWhatは原因論、Howとは方法論です。

この両者を同一線上で捉えた理論というものはいかにも辻褄が合っていて、合理性があるように思えますね。しかし、これは線形科学に限定した場合の話です。「A⇒B ならば B⇒A」という図式が成立する世界ならば、WhatHowは同一ライン上で考えていい、否、考えるべきでしょう。

しかし、これが成立しない非線形科学とりわけ複雑系の世界ではWhatHowは反対に切り離さなければならない。まさにここのところ、この視点が従来の徒手医学には全くなかったということです。

例えば、Whatが「筋肉」としましょう。この場合、Howも「筋肉への介入」ということで、その関係性は単純明快で分かりやすい。

しかし、Whatが「脳」の場合、Howも「脳への介入」という次元になると、脳そのものが複雑系であるため五感すべてが入口となり得、その介入手段が非常に多種多様となる。

脳を変える手法はいくらでもあって、何か一つに限定されない…。脳の可塑性を促す方法はマインドフルネス、五感の刺激、笑い、イメージトレーニング等々、他にも…。

そこで、私たちBFI研究会が帰結した諭旨は、脳にアクセスすべく種々選択肢があるなかで、触覚を入口にしてアプローチする手法、それも人間の手を使ってアクセスする方法が最も効果的と言えるのではないか、というものなのです。

「最終的な原因はあくまでも脳にある。世界中に存する手技療法は皮膚というインターフェースを通して脳にアクセスしているに過ぎない」というのが当会のスタンスです。

これがもし仮に正しいとするならば、ハード論を掲げて強刺激的介入を行う現場にあっては、感受性能を進化させつつあるヒトの脳に対して物理的に過剰介入を続けているという視点が浮上します。

そうした強刺激を許容できる脳、あるいは強刺激を欲している脳にとっては結果オーライの場面も多々ありましょう。しかし、そうでない脳に対しては極めてハイリスク…。

そんなリスクを冒してまで生体に介入するメリットとはいったい何なのでしょうか?術者側の経営的スタンス?所属組織を守ろうとする確証バイアス?患者側のバイアス?いずれにせよ、そこに医学進歩における正当性、妥当性はありますか?


今、世界中に広まりを見せているタッチケア。その多くは冒頭のスライドで紹介した通り、看護や介護の現場で看護師が行うものとして発達していきました

しかし、究極のタッチケアと呼ばれるBFIは、日本のbonesetter(接骨師)が、運動器プライマリケアの現場で、外傷や慢性痛の治療および回復期リハのテクニックとして生み出されたという出自的に決定的な違いがあります。

当然ながらBFIはケア(care:看護する)という概念に収まるものではなく、その本質はキュア(cure:治す)と呼ぶに相応しいものです。

そこで今後は、“究極のタッチケア”改め“タッチキュア(touch cure)”という呼称を造語し、これを前面に掲げていきたいと思います。


『 脳の可塑性を促すタッチキュア《BFI》


今後はBFIのキャッチフレーズとして上記を採用していきます。

Touch1

今後、先進諸国のほとんどが超高齢化社会に移行すると言われるなか、その先頭を切って未曽有の高齢化社会に突入しつつある日本。運動器プライマリケアの臨床現場に、MCI(軽度認知障害)の患者さんが受診される機会が必然的に増えていくものと推断されます。

しかもそうした患者さんは本人も家族もMCIになっていることに気づいていない場合が多いことが想定され、そうした症例に起こり得る様々な問題に対しては従来のハード論のみで対応できるものではありません。

BFIのごとき全人医療の視点、脳と痛みの視点、脳疲労という核心の視点が絶対に必要であると当会は考えています。

そうした視点の重要性を思い知らされる実例(3症例)について、次回の研修会(12月3日)で詳しく解説させていただきます。

→12/3BFI技術研修会プログラム





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