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椎間板ヘルニア-⑤神経の変性≠痛み(その2)-

2012/01/17

⑤神経の変性≠痛み(その2)

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変性下にある神経は確かに刺激に反応しやすい状態になっていると言えますが、種々の実験のような人工的な刺激は現実の生体内におこるべくもなく、現代医学が考えるような頻度で異所性発火が生じることは特殊なケースを除き、私は「あり得ない」と考えています。

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動物実験では、あらかじめ神経に強い外力を加えたり傷つけたりすることによって人工的な障害を作っておき、そのうえで神経に種々の刺激を加えて電気生理学的な反応を見るわけですが、人為的に障害を作り出した実験モデルと現実の生体におきている現象が同じだとする論理が私にはどうしても理解できません。

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異所性発火というものは通常の神経生理現象を逸脱した極めてイレギュラーな警報システムであって、神経本来の役割とはかけ離れた現象です。生体の中にはペアンもコッヘルも存在しないのです。

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さらに現代医学は追い打ちをかけるように「神経は変性すると、それだけで自ら異所性発火をおこす」とまで言い放っています。その論拠は以下のとおりです。

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 【神経の圧迫が長時間に及ぶと、代謝機能が低下して徐々に変性する⇒⇒変性がすすむと脱髄神経を包んでいる絶縁体が溶けてなくなる-という現象がおこる⇒⇒この結果、絶縁が保たれていた神経同士がショートして、あるいは新たなイオンチャネル(イオンの通路が形成されて、そこから異所性発火がおこる】

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つまり「神経は圧迫によって変性し、自ら異所性発火をおこす」と現代医学は言っているのです。ここであれっ?と思いませんか?何かおかしいことにお気づきでしょうか。ここまでの流れを整理すると分かりやすくなりますので、一連の経緯を振り返ってみます。

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「正常な神経を圧迫しても痛みにならない」…たしかにそのとおり。圧迫の時間が長くなれば、痛みをおこすことなく“沈黙の麻痺”となる。実際の臨床(ハネムーン麻痺やギプス固定による麻痺など)がそれを証明している。一方で現代医学は神経痛という概念と矛盾するこの事実を積極的に取り上げることはなく、事実上の隠蔽?と詮索したくなるほど俎上に載ることはありませんでした。
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ところが「無症状の椎間板ヘルニア」の存在が表面化してくると、無視し続けることができなくなり、論理的な整合性を持たせる必要に迫られました。そこで「単純な圧迫で痛みが出ない」ことを証明する実験を行い、掌を返したかのように辻褄を合せたのです。

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さらに別の実験データを引き合いに出して「神経は変性すると自ら痛みを発信する」と言い放ったうえで「正常な神経への圧迫は痛みにならないが、変性した神経を圧迫すると痛みが出る」と主張し始めたのです。これで無症状のヘルニアに対する説明が一応可能になったわけですが、所詮“付け焼刃の後づけ論理”です。すぐにほころびが出ます。

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  つまり

                  A『正常な神経の圧迫⇒変性⇒脱髄⇒麻痺(痛みなし)』

  という流れを認めておいて、一方では

                  B『正常な神経の圧迫⇒変性⇒脱髄⇒異所性発火⇒痛み

  だと主張し、さらにそのうえで

                  C『変成した神経⇒圧迫⇒異所性発火⇒痛み』

  だと論破しているわけです。

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もし現代医学の言うとおり上記すべてが成立するなら、脱髄があっても痛みのない症例(A)と痛みのある症例(B)が併存する理由について合理的な解釈が必要です。

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さらにこれらの考えにしたがえば、脱髄をおこしている神経がその時点でさらに圧迫を受けると、内外側からの被害が重なることになり、異所性発火は二重発生(ダブルアクション)することになりますが、この場合の臨床所見はどういうものなのか?といった説明も必要になるでしょう。

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異所性発火は内的要因(脱髄)によるものと外的要因(圧迫)によるものがあると現代医学は主張し、かつ臨床で遭遇する数多の痛みを異所性発火(=神経痛)だと強弁します。

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しかし「痛みのない変性神経」と「痛みのある変性神経」の違いを現代医学は明確にしていません。これはヘルニア問題が包含する「痛みのない変性椎間板」と「痛みのある変性椎間板」の違いをいまだにきちんと説明することができない整形外科の現状を象徴している“捻れ論理”であり、現代医学が抱える“大いなる矛盾”のひとつです。

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そもそも今回の一連の争点(もっとも向こうはそういう認識はないでしょう…)において、まずおさえておくべきことはヘルニア症例で問題になってくる症状の多くは慢性かつ持続性の痛みだということです。同じ神経痛でも三叉神経痛の症状-瞬間、発作性の電激痛-とは基本的に異なります。もちろんヘルニア症例の中にもこれに似た症状を訴えるものがありますが、そのほとんどは一過性のものであり、数週間以上も続くということはめったにありません。

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私は三叉神経痛のような発作的な電激痛こそが本物の異所性発火すなわち本物の神経痛であって、持続性の慢性疼痛は「異所性発火ではない」すなわち「神経痛ではない」と考えます。

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異所性発火という現象を体現する最も端的な例は神経を直接ぶつけたときです。肘の内側(尺骨神経)を机の角に思いっきりぶつけると電撃ショック様と形容される強烈なしびれを手先に感じます。ひざの外側やや下の場所(腓骨神経)をぶつけても同様の現象がおきます。これは神経幹への直達外力によって異所性発火がおきた現象です(変性下の神経が刺激されたときの感覚とは多少違うかもしれませんが、現象としては同じメカニズムのものです)。

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このときの感覚を思い出してみてください。ほとんどは一瞬感じるだけで、それが数十秒以上あるいは数分以上も続くということは絶対にありません。現代医学が主張する神経痛という概念では、あの感覚に近いものを持続性に味わっていることになりますが、あの電撃様のしびれ感をもし数分以上もずっと感じ続けたら、正気のままでいられると思いますか?ふつうの人間なら気が狂ってしまうでしょう。とても耐えられるものではありません。

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感覚神経の役割は末端のセンサーがキャッチした情報を中枢に届けることです。それが本来の仕事です。ただ、例外的に神経幹本体に加えられた強い外力に対しては、“危険情報”として回避行動を促すために信号を発射します。これが異所性発火です

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これは神経にとって尋常ならざる異変を知らせるための、超法規的措置であるがゆえ、脳に上った際の感覚もあり得ないほどに強大なインパクトになっているわけです。

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ただし、免疫代謝系の問題から特殊な変性をおこした神経では、軽微な外力に対しても反応してしまうことがあります。その代表例が前述した三叉神経です。

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化学的な変性下にあって、なおかつ蛇行した動脈と密着状態にある三叉神経にとっては、動脈の拍動レベルのような“微弱な刺激”であっても十分驚異であるため、異所性発火を生じるものと推察されます。そしてその症状はあくまでも一瞬、発作性です。肘をぶつけたときの異所性発火と同じだということです。

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仮に三叉神経痛の患者さんの訴えが持続性の痛みに変化した場合、その現象はもはや異所性発火とは言えず、別次元の問題を考える必要があります(おそらくCRPSの類であろうと思われます)。

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『坐骨神経痛を含めたヘルニア症例の多くは持続性におこる慢性疼痛ですので異所性発火ではない!一瞬、発作的におこる電撃様の激痛だけが本物の異所性発火すなわち本物の神経痛であって、ほとんどの慢性疼痛は神経痛ではない

というのが私の結論です

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今回のポイントの整理!

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   ①現代医学の主張 「変性した神経を圧迫すると痛み(異所性発火)がおこる」

        ⇒私の反論 「それは実験モデルでの話。現実の生体で頻繁におこる現象ではない

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   ②現代医学の主張 「変性した神経は自ら痛み(異所性発火)を発する。これが神経痛である」

       ⇒私の反論 「三叉神経痛のような一瞬、発作的な電激痛のみが本物の神経痛(異所性発火)。

              それ以外の慢性かつ持続性の痛みは異所性発火ではない。つまり慢性痛≠神経痛

.              ということ!

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次章で②の論拠についてさらに詳しくお話します。

「感覚神経の真の役割とは?」「炎症の回復を見守る監視システムとは?」

そして

「私が見出したnociception-silent monitoring system (NSMS)とは?

こうした観点から“神経の変性≠痛み”を再び論証します。

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      ④神経の変性≠痛み(その1) Prev Nexxt ⑥神経の変性≠痛み(その3)

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                          ト ップページに戻る                              

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