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椎間板ヘルニア-⑪椎間板の変性≠痛み(その1)-

2012/06/18

⑪椎間板の変性≠痛み(保存療法の現場の視点)

《トップページ》
現代医学は腰痛における“椎間板原因説”を金科玉条のごとき主張し続けています。椎間板の変性は加齢によって現出する人類の宿命であるため、腰痛も当然避けられない“さだめ”にあると言わんばかりです。

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かくして医学の権威らが発信する情報は診察現場とマスコミの両者を経由して無垢なる世人を洗脳し、今や“神経痛”と“椎間板”という概念は両方セットになって人々の脳に深くすり込まれています。

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しかし20世紀も終わりにさしかかった頃すなわち1990年代、EBMの登場によって“椎間板原因説”は陰りを見せ、その色は黒からグレーに既に変わっています。正常人のMRI画像を解析した結果、“無症状の椎間板の変性”が多数存在することが分かったからです。
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もっとも私に言わせれば、椎間板はグレーどころか、完全に“白”です。その理由は以下の通り…。

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現代医学は画像検査によって「椎間板が潰れている状態」を見つけると、“腰椎椎間板症(椎間板の変性が痛みの原因だとする病名)”と診断しておきながら、その実、椎間板そのものを治療するわけではありません。椎間板の変性は組織の老化現象と考えられていますので、時計の針を元に戻さない限り、それを回復させる手立てはないからです。

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椎間板の変性が原因と説明しておきながら、椎間板の変性そのものには何のアプローチもせず、ほとんどのケースで椎間板とは無縁の対症療法を行います(牽引療法には椎間腔の拡大のほか椎間板内圧を少しでも下げようとする意図がありますが、その効果は推して知るべし。実際には内圧を下げるというよりも筋へのマッサージ効果くらいしか認められず、EBMでもその効果は立証されていません)。

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椎間板性の腰痛と診断されておきながら、その原因を放置される人々はその後どうなるのでしょう?原因を治さない限り完治するはずがないわけですが、病院の対症療法にせよ、補完代替医療にせよ、保存療法によって痛みがなくなってしまうケースが厳然として存在します。

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椎間板に直接手を下すまでもなく、現実には良くなってしまうということは、そもそも椎間板が原因でなかったという結論に至るのは子供でも分かる理屈です。保存療法においては、いかなる手段であろうとも椎間板の変性を元に戻す-時計の針を戻す-ことは絶対に不可能なわけで…。

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もとより侵害受容器(障害センサー)は椎間板と軟骨には見つかっておらず、痛みの発生源になり得ないという基礎医学上の前提があります(組織学的にそうした受容器が今後見つかれば話は別ですが、今のところまだ見つかっておりません)。

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現代医学はEBMによって“無症状の椎間板の変性”という事実を突きつけられると、「変性そのものは痛みをおこさないが、椎間板が変性することで周囲の組織に負担がかかり、その軋轢のなかで痛みをおこしてくる」と表現を微妙に変えました。当コラム「神経の変性≠痛み(その2)」で紹介した、神経痛に対する対応とまったく同じ論理展開をここでもしているわけです。

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侵害受容器は椎間板内には存在しないわけですから、侵害受容器のある組織にターゲットを変えたということです。組織学的に侵害受容器の存在が証明されている後縦靭帯、前縦靭帯、椎間関節などへの負担が痛みを引きおこすと言い換えたわけです。

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さらに椎骨洞神経の侵害受容ニューロンが椎間板の表層に伸びていることを強調し、椎間板がひとたび障害されると、椎骨洞神経が血管と一緒に椎間板内部に侵入する」という動物実験の成果まで喧伝しています。しかし「神経の変性≠痛み(その3)」で述べたとおり、侵害受容ニューロンの主任務はあくまでも障害の局在を脳に知らせて回避行動を促すことにあります。

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骨洞神経は基本的に多髄節支配ですので、局在を知らせる機能は明確なものではありません(脳は発生現場を詳細に特定できない)。したがって私は椎骨洞神経の侵害受容ニューロンが反応しても、動的時間軸で考えれば、私論における神経痛同様その現象は一瞬、一過性のもの(震源地を特定できない地震速報)であり、同時に下行性疼痛抑制機構が働くことで、脳が痛覚として受信する機会は極めて少ないと考えます。ごく短時間の現象として侵害受容ニューロンからの痛みを感じる局面があったとしても、臨床で問題となることの多い慢性痛が椎骨洞神経に因るケースはほとんどないというのが私の考えです。

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いたいにおいて、もしこのニューロンが侵害情報を逐一脳へ送信し続けたら、椎間板の性質と機能を鑑みれば人間はしょっちゅう痛みを感じるような事態に陥るはずです。そんなナンセンスなシステムを神様(あるいは村上和雄氏の言うところのサムシンググレート)は作らないというのが私のスタンスです。

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医学の権威たちはなぜ臨床の現実よりも、動物実験の結果や解剖学的な形態観察を優先させるのでしょう?椎間板に関連する組織に侵害受容器があろうとなかろうと、考えるべき対象はあくまでも“患者さん”でなければなりません。それが医療の本質のはずです。医学的にどのような知見が報告されようと、それが現実の臨床と合致しなければ、ただの参考情報に過ぎません。医療のゴールは論文の作成や評価ではなく“患者さんの恢復”であるべきです。

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現代医学がどんなに椎間板説を掲げようとも、実際には椎間板自体への非介入(保存療法)によって、即効的に症状が回復し、あるいはその場で消失するという現象を無視すべきではありません。“無症状の椎間板の変性”が大多数に見られる-ボルボ賞を受賞したNorbert Boos博士の報告では正常人の実に85%に変性が見つかっている!-という事実を軽視することなく、むしろそれを重く受けとめさえすれば自ずと異なる論理展開になるはずなのですが…。

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当たり前の論理が当たり前として通用しない背景には、もちろんそれなりの理由があります。資本主義国家の医療というものは、もはや経済の歯車…。医療費削減という建前の一方で、真逆(薬を売るため)の戦略潜行…。そして新しい医療技術、画期的な検査機器、そういうものが開発される先に控える莫大な市場…。

たとえ医療と言えども、市場原理の支配下にある以上、企業の利益に繋がる医療こそが、テレビやマスコミを通じて一般大衆に浸透されるという、これまでの流れは今後も変わることはないでしょう。したがって、私が発信している情報と、現代医学が発信する情報、企業にとってどちらが有益か一目瞭然…。

残念ながら、私の主張-痛みの発生現場は脳である!脳内の情報処理のエラーが痛みを引きおこす!痛みの原因はハードではなくソフトの問題である!-、そして私の取り組み-多重極微の触覚刺激を介して脳に働きかけるという治療概念の認知普及-は、今のままでは経済の歯車どころか、潤滑油にもならない。企業の利益どころか、雇用さえも生み出せない…。であれば、私の主張(ソフト論)が世の中の常識になることはまずないと言っていい。

事実、
椎間板の再生医療」が現実味を帯びつつある-時計の針を戻すことが可能になった-今、整形外科学会のハード領域の逆襲がいずれ始まる可能性があります。

医学界は2012年12月に「心理社会的因子による腰痛(ストレス由来の腰痛)が大半を占める」というソフト論寄りの診療ガイドラインを発表しましたが、今後IPS細胞の研究が進み、椎間板再生医療がルーチンに行える世の中になったら、医学界は先のガイドラインを反故にするかもしれない。

それほどに「椎間板再生」という筋書きには、一般大衆を洗脳するには十分すぎるほどのインパクトがあり、なおかつその裏には莫大な収益、巨大な利権、そして何よりも整形外科としてのアイデンティティー-ハードの故障を修理する-を守ることに繋がる流れが…。

                              ※⇒「椎間板再生医療の現実を促進」の記事

私は、今後の医学界の動向を注視する必要があると思っています。痛みの真実(ソフト論)を重視する流れがこのまま続くのか、それとも椎間板再生を掲げてハード論に逆戻りし、再び世人を洗脳の渦に巻き込むのか…。すべては市場原理にしたがって行き先が決まる…。

もっとも椎間板再生という殺し文句によるプラセボ効果が世界を席巻する-人類が痛みの真実(ソフト論)を封印し、見せかけの衣を着て満足する-ならば、それはそれで結果オーライと言えなくもない。要は痛みが消えればいいのだから…。

であれば、より安全な方法がルーチンになる光の未来を、私は信じたい。「椎間板再生によるプラセボ効果」にせよ、「脳への直接的あるいは間接的な介入」にせよ、いずれにおいても最終的に脳の働きが変われば痛みは消える…。

とにかくより安全な医療が構築されるべきであり、現状においては、ブレイン・フィンガー・インターフェース(BFI) -脳へ働きかける技術-が、極めて安全な介入手段のひとつだと言えます…。指先で、微かに触れるだけなのですから…。


次回は椎間板の変性という概念そのものに一石を投じるべく、まったく新しい視点でその機能、役割、存在意義を推断したいと思います。もしその推論が正しいのであれば、医学の歴史を変える概念となりましょう…。

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