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椎間板ヘルニアの真実-医学史に残る巨大な錯誤-

2013/05/27

椎間板ヘルニアの真実-医学史に残る巨大な錯誤-

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ある女性会社員の例。4月の人事異動で職場の環境が一変し、慣れない仕事を担当するなか、人間関係にも大きなストレスを抱えるようになりました。そんな矢先、それまで感じたことのない腰痛が現れたため、近所の病院を受診したところ、「筋肉性の疲労」という説明。ところが、その後も痛みが引かず、ある朝、激痛のために起き上がることも困難になってしまい、数日ほど会社を休む羽目に。

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職場に復帰してからも、毎日のように腰痛が続き、痛みの増悪、欠勤、早退というパターンを繰り返すように…。いまひとつ波長が合わない上司からは「仕事が嫌なんでしょ。休みたいだけなんじゃないの」という視線を感じるようになり、彼女は自分の辛さを理解してもらえない悔しさともどかしさを抱え…。

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紆余曲折の後、別の病院でMRI検査を受けることに。その結果「椎間板ヘルニア」と診断され、手術については「あなたがどうしてもやりたいと言うなら…」という対応。医師の姿勢にどことなく違和感を覚えるものの、本人としても「できれば手術は避けたい」ということで、治療はそれまでどおり会社近くの整骨院で。

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発症から2ヶ月後、少しずつ回復傾向にあるものの、「慢性的な疲労感朝起床時の強い痛みが続いている」とのことで、当院を受診されました。以下に初診時の会話を再現します。

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『…ということで、長期にわたる神経の圧迫は必ず麻痺になります。痛みにはならないんです。人工的に作られた変性神経においては、圧迫すると神経の興奮(異所性発火)が起こることが実験で確かめられていますが、その際の信号発射が脳の痛み中枢まで100%届くのかどうか、あるいは仮に届いたとしてその信号を受信した脳が本当に痛みという感覚を生み出すのかどうか、そういった次元(現実の臨床モデル)での証明は一切為されていません。

本物の神経痛というものは三叉神経痛のように一瞬発作的な激痛のみです。それ以外の慢性痛、それも「持続性の痛みまでもが神経の圧迫による」という考えは極めて短絡的であり、医学史に残る巨大な錯誤だと、私は思っています。100年後の医学の成書にそんな記述は絶対に載っていません…。ですからあなたの原因は別のところにあります。

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実は現代人が感じる疲労感の原因は“”にある場合が多いんです。今の世の中、多くの人が理屈と感情のねじれを抱えて生きています。脳は潜在意識(無意識)において、この両者の折り合いをつけることで、表面意識のバランスを保っていますが、この作業には相当なエネルギーを消耗します。表面意識の私はそうした作業には気づけません(知覚できない)。

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こうしたなか、表面意識によって作り出される理屈と「本当はこうしたい」という潜在意識(無意識)にある感情、これらのねじれが許容範囲を超えて大きくなった時、すなわち脳の神経活動の乱れがピークに達したとき、痛み記憶の再生ボタンのスイッチが入ってしまうんです

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『先生の仰ることはなんとなく分かるような気がします。実は最近、脳の本を読むことがあって…。そんなとき偶然先生のブログを拝見して、こちらにお伺いしたんです。ただ、私の…、この痛みに記憶の問題が関わっているとしても、ヘルニアがあればやはり…、そのあたりはどうなんでしょう?』

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『実はヘルニアは正常人にも多数見つかることが分かっています。実験のために集められた健康人のMRIを撮ると、3~7割くらいにヘルニアが見つかるんです。こうした無症状のヘルニアを指して、研究者らは“MRIヘルニア”と呼んでいます。こうした“ヘルニアもどき”を持っている人が、たまたま別次元の原因から腰痛を患ったとき、そのタイミングでMRIを撮れば当然それが写ります。それを見つけた医師が、鬼の首を取ったように「これが犯人だ」と誤認逮捕しているのが、椎間板ヘルニアの真相です。100年後の研究者は医学史に残るミスリードだったと振り返っているはずです。

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ですから医療現場で診断されている椎間板ヘルニアの多くは、生理的な変化であって、病理的な変化ではないということです。痛みがメインで、麻痺がなければ“ヘルニアもどき”だと考えて差し支えありません。先ほども申し上げたとおり、神経の圧迫は必ず麻痺になります。痛みにはなりません。ですから本物のヘルニアの方は車椅子に近い状態で来られます。

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あなたの場合も、麻痺の所見は一切ありませんのでご安心ください。間違いなく“もどき”です。皮膚のしわを病気と言う人はいませんよね。今回のヘルニアもそれと同じで、身体の中の“しわ”がMRIに写っていたと解釈していただければ結構です。ヘルニアと診断しておきながら、手術に後ろ向きな医師が多いという現実も、私の説明で得心がいくと思います。くどいようですが、本物のヘルニアであれば、必ず麻痺があります』

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『そうですか。それを聞いて安心しました。先ほどの施術で、身体が軽くなった気がします…。このあと私の痛みはおさまっていきますか』

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『すぐにおさまることもありますし、数週間あるいは数カ月をかけて徐々に消えていくケースもあります』

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『家族や同僚のなかには、「手術で治るものなら、一気に解決させたほうがいいんじゃないか」と言う人もいて…。上司にはどう説明したらいいでしょうか』

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『私が主張している痛み記憶に関しては、それを聞いて納得という人はほとんどいないと思います。一方で、椎間板ヘルニアというのは今や誰でも知っているポピュラーな病名ですから、そちらのほうが理解が得られやすいです』

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『やはり、そうですよね。実はヘルニアと診断される前は、「たかが腰痛で…」みたいに思われていて、まるで仮病のような扱いを受けてすごく腹立たしくて…。でも、病名が分かってからは、上司の冷たい視線からも解放されて…』

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『痛みに苦しんでいる人がそれ相応の疾患と分かれば、周囲の人は「ああ、たいへんな病気を患っているんだなあ」と、気遣いの心を持つことができます。病名にはそういう意味というか、役割があるんです。辛い思いをしている人を思いやるための言わば“共通言語”のようなものです。

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もっともあと10年もすれば、痛み記憶といった次元の話は多くのマスコミが取り上げるようになって、その時代での共通言語になっていると私は思っていますが…。ただ、今はまだそういう世の中ではありませんので、周囲が分かりやすい病名(椎間板ヘルニア)で押し通したほうが賢明でしょう…。そのうえで上司に対しては、「私は保存療法でやっていきます」という意思を明確にしていただくことが大事だと思います』

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『分かりました。そのようにしたいと思います』

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このように、椎間板ヘルニアという病名は現社会において“免罪符”として機能している側面があり、これはヘルニアに限らず、痛みの病名というものを考えた時、既存の常識にあるハードの病名(誰もが知っている病名)のほうが、周囲の理解を得られやすいと言うことができます。

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したがって、何らかの社会的背景を抱えている患者さんにとっては、既存のハードの病名のほうが都合がいい場面もあるわけです。ただし、画像診断によるハードの病名は、死刑宣告にも似た衝撃を患者さんにもたらすケースがあり、そうした光と影のコントラストに目を向けたとき、現状は影の部分が強くなり過ぎているとの思いから、私は当ブログを通して「画像診断の矛盾」を発信し続けてまいりました。

脊椎の世界的な権威Norbert Boos博士も、画像診断の矛盾を糺す論文を発表し、以下の名言を残しています。

『我々は画像所見と症状が相関しないことを知っている。我々が治療しなければならないのは患者であって、MRI写真ではない!』

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そうしたなか、ついに日本整形外科学会が“画像診断の限界”をようやく認めました。2012年の暮れ、日本経済新聞や東京新聞が以下の記事を速報したのです。

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日本整形外科学会と日本腰痛学会は30日までに、腰痛の発症や慢性化には心理的なストレスが関与しており、画像検査などでも原因が特定できない腰痛が大半を占めるとの診療ガイドライン(指針)をまとめた」⇒記事全文はこちら

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⇒椎間板のパラダイムシフト-trans-function 理論-

                                       
⇒椎間板ヘルニア-画像診断の矛盾-
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⇒椎間板ヘルニアは脊椎を守る防御反応

   
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