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4スタンス理論と関節神経学の融合-4スタンス×8理論-

2015/10/07

4スタンス理論と関節神経学の融合-4スタンス×8理論-

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2015年10月4日に開催された第29回BFI定期研修会の内容について報告いたします。

午前の部『4スタンス理論と関節神経学の融合がもたらしたBFI技術の進化』
      『BFI技術の比較体感実験』

この日の午前は2部構成。はじめに4スタンス理論の概要を紹介し、これによりANT(関節神経学的治療法)における関節受容器反射(arthro-reflex:AR)の主経路が4つに分かれることをご報告しました。

4sstt_2
※4スタンス理論…ヒトの脳内にある運動システムの基幹ソフト(既定のプログラム)は4種類あるという説。概要についてはこちらの動画(you tube)をご覧ください。

AKA‐博田法において仙腸Jを操作した際のSLR変化が同側に現れるタイプと対側に現れるタイプがある(例えば右仙腸JのAKAを行った際に同側右下肢SLRが改善する症例もあれば、反対側の左SLRが改善したり、同様に同側あるいは対側が悪化したりする)理由、ANTにおける関節軟部組織過緊張連鎖および低緊張連鎖の出現パターンの違い(同側あるいは対側に現れるケース)がある理由、これらについて4スタンス理論の視点から説明することができます。
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Taijikuko
4スタンス理論における“重心”とは、脳が関節受容器反射を制御する際の優先順位すなわち足部における関節運動反射の出力順位の起点がどこにあるかを意味していると考えられます。下図は手足における起点と順序を示したものです。4スタンス理論では体軸構成のひとつに“足首”が表記されていますが、ARの視点では“距骨下関節”である可能性が高いと思われます。

Foot1_2 Hand1_2

手部においては、AタイプはPIPが起点(物を掴むときPIPから握り始める)になっています。これは物を把持する際の握り方の違いとなって現れます。例えば生ビールを飲む時、ジョッキの取っ手を握る際、Aタイプの人はPIPで引っかけるようにして持ちます。

他方、Bタイプはジョッキの取っ手をMPで把持しようとするため、掌全体で深く握りこむ感じになります。飲み会のときにジョッキをどのようにして持っているかを観察すると、AタイプかBタイプかおおよその見当がつくので面白いです(懇親会の席で大いに盛り上がりました!)。

上図においては、Bタイプの起点がMPではなく、手根中央J(MCJ)になっています。この理由については、BタイプのMP先行モーションは実は見かけ上の動きに過ぎず、ARの視点からはMCJが起点となっているというのが私の見方です。AKA‐博田法、ANTの臨床経験に則して考えると、Bタイプでは“手根骨横アーチ”の緊張が先行すると推察されるのです。

Bタイプの手指関節運動連鎖は、表面的にはMP屈曲が起点になっているように見えますが、実際は手根骨の緊張が先行していると考えられ、これは足部においても同じ見方ができます。

すなわちBタイプは手部、足部といった末端のAR起点として横アーチの緊張が先行するということです。興味深いことに足部の横アーチの枢軸であるショパール関節(距舟J、踵立方J)、手部の横アーチの枢軸である手根中央J、この両者の形状がS字状を呈するという共通点があります。

4スタンス理論の提唱者“廣戸聡一氏”によれば、Aタイプはガッツポーズをする際、コブシを上に振り上げて伸びあがるのに対し、Bタイプはコブシを後下方に引いて沈み込む感じになるそうです。私はB1タイプですが、確かにコブシを後ろに引いて丸まる感じになります。反対にタイガーウッズ(A2タイプ)のガッツポーズはまさしく上に振り上げています。

Bタイプの運動特性は基本的に身体内側中心方向に向かっていくと同時に、末端では横アーチの緊張から始まります。一方でAタイプは身体外側天地方向に向かっていくと同時に、末端では縦アーチの緊張から始まります。ARの視点からはこのように解釈することができるのです。

4スタンス理論における重心タイプの違いは、脳内で処理される関節受容器を介したフィードフォワード制御の優先順位もしくは関節運動連鎖を制御する「既定のプログラム(デフォルトのプログラム)」が4種類存在することを意味しています。関節運動連鎖パターンが4種類あり、その其々において連鎖起点と順序、連鎖主経路が違うということです。

廣戸氏によれば、A1タイプとB2タイプはクロス型(筋協調性が下半身と上半身でクロスするため、身体をねじるような動作になる)であり、A2タイプとB1タイプはパラレル型(下半身と上半身の同側が連動するため、ねじらない動作となる)とのこと。

ANTの臨床において、関節軟部組織過緊張連鎖や低緊張連鎖が同側半身に現れるタイプ(パラレル型)と上下半身対側に現れるタイプ(クロス型)に分かれる現象も、4スタンス理論で説明できると私は考えます。

4s_2
BFI は難治性疼痛に対するANT転用により生まれた技術-多関節への多重極微の刺激-であり、多関節運動連鎖を念頭に、これまで複数の関節を同時に触る際、最も有効性の高い組み合わせが何であるかを探し続けてきたという経緯があります。

そうしたなか、4スタンス理論による重心タイプを見極めることで、そのそれぞれに即した技術を適用させるという新たな段階に突入したと言えます。施術対象の関節が絞られ、以前より効率的な技術体系に変貌しました。その概念、概略図を以下に示します。

4starthro_2
4starthro1

上図はAKA‐博田法、ANT、BFIの臨床データから推測される関節反射主経路です(関節運動連鎖主経路と言い換えることもできる)。4スタンス理論におけるクロス型とパラレル型の違いにおいて鍵を握るのは仙腸Jではないのかというのが私の見方です。つまりクロス型におけるクロスポイントはまさしく仙腸Jであろうと推断されるのです。下半身と上半身の連動性を構築すべく最も重要な関節が仙腸Jだという視点はおそらく的を外していないと思われます。

現在、BFIのテクニックは大きく4種類に分けられます。
① 4ST stimulation(4スタンス理論による関節反射主経路に即した複数関節同時刺激)
② Median stimulation(右脳と左脳への均等情報処理を考慮した正中線刺激)
③ Random stimulation(不規則かつ多重極微の連続刺激)
④ Eccentric stimulation(徐々に離れていく-遠ざかる-触覚刺激)

今回の研修会の臨床実験では、私が施術者となり、参加者全員に上記テクニックを行い、その其々に対する体感度(心地いい刺激~不快な刺激)を点数化してもらいました。その結果、さほど大きな違いは見られませんでしたが、①が最も高い点数となっていました。

ひとつ興味深かったのは②の結果が女性被験者のみ点数が低かったことです。男性の脳と女性の脳の働きの違い(神経回路の繋がり方の違い)は、男性は脳の前後の回路が活発であるのに対し、女性は左右の連絡が密に行われていることが分かっています。②は身体の正中線すなわち脊椎棘突起のみを触れる技術であり、もしかすると、そうした女性特有の脳の働きと関係があるのかもしれません。

まだ確定できる段階ではありませんが、とりあえず②は女性には使わないようにしています。

現在、私のところではルーチン検査として自律神経測定、脳タイプ判定心理テスト、そして4スタンス理論のタイプ判定を実施し、その上で実際の施術は上図にある関節をメインターゲットにして行っています。

4スタンス理論と関節神経学の融合によって見出された関節反射主経路(arthro-reflex major root:ARMR)。これに準える多重極微の同期刺激は小脳制御系運動プログラムのアップデートに極めて有効というのが私の考えです。

ここで再度先ほどの図を眺めてみてください。4タイプにおけるARMRの関節はすべて8か所になっていることにお気づきでしょうか(仙腸J、頚胸椎移行部or胸鎖J、胸腰椎移行部はそれぞれ一つとしてカウント)。人間が生まれつき持っている運動プログラムの基幹ソフトは4種類あり、その其々においてARMR上に重要な働きを担う部位が8か所あることから、これを『4スタンス×8理論』と呼ぶことにします。

4スタンス理論を採り入れた最新のBFIテクニックについて、一般向けの解説としてこちらのページでも紹介しています。

研修会の午後の部では、サイコパス特性を表し得る心理テストを参加者に行い、その結果を踏まえ、外的処理に特化した脳とサイコパスの関係、内的処理に特化した脳と痛みの関係、そしてそれらとデフォルド・モード・ネットワークの関係について講義させていただきました。その詳細については追って詳しく解説したいと思います。

また4スタンス理論とCRPS(RSD)発症の間にある関係性について、次回の研修会(12/13)でお話し致します。少し予告させていただくと、たとえばCRPS(RSD)体質のBタイプが手首を骨折した場合、ギプスを巻かれた際の固定範囲がMPJに及んでしまうと、AR起点の動きがブロックされてしまうため、腫脹、浮腫、拘縮を起こしやすくCRPS(RSD)発症のリスクが高まるのではないかと、私は考えています(実際の症例がその可能性を示唆しています)。



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