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古今東西あらゆる痛み治療は最終的に“同じ場所”にアプローチしているという見方

2015/07/23

古今東西あらゆる痛み治療は最終的に“同じ場所”にアプローチしているという見方

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現代医学が掲げる痛みの分類「◆侵害受容性疼痛  神経障害性疼痛 心因性疼痛」。

他方、私が唱える新分類「◆ハードペイン ソフトペイン ハイブリッドペイン」。

ハードペインは肉体の障害を知らせる痛み。ソフトペインは脳の誤作動すなわちシステムエラーによる痛みであり、その実態は脳内補完(痛み記憶を形成する神経回路の過活動)。ハイブリッドペインは両者の混成痛。

臨床上もっとも多い痛みはソフトペイン-理由についてはこちらのページ-であり、世界中に存在するあらゆる治療体系の効果発現は、五感の入口を通してそれぞれのやり方で脳に働きかけた結果に過ぎないというのが私の見方です。

五感の入口が視覚であれば「EMDR、光療法等々」、聴覚であれば「音楽療法、リスニング療法等々」、嗅覚であれば「アロマテラピー、森林浴等々」、触覚であれば「指圧マッサージ、タッピング、タッチセラピー、オステオパシー等々」。運動覚であれば「体操療法、水泳、ウォーキング、ストレッチ、マッケンジー、ヨガ等々」。

そして“触覚&運動覚”であれば「トリガーポイント療法、カイロプラクティック、整体、AKAANTPNFNPABFI 等々」。

(※補足…触覚や運動覚を入り口にして脳にアプローチする際、強刺激的介入によって良くなる脳と微弱刺激的介入-低侵襲アプローチーによって良くなる脳が存在するため、「その両者それぞれに反応する患者がいる」と捉えることができます)

現存するあらゆる治療行為は、要は脳に働きかけるための入口の違いに過ぎないという視点…。入口がどうあれ、最終的に脳の神経回路の変化を促すことができれば-脳内プログラムの書き換え(アップデート)に成功すれば-、理学所見(筋協調性、筋持久力、腫脹や浮腫、痛みやしびれ等々)が変化します。

このように考えることで、世界中にある痛み治療の効果発現を総括的かつ合理的に説明することが可能なのです。

登山に譬えれば、“痛消山”という名の山があって、その山頂に脳があって、ふもとには複数の登山道入口があって…。どのルートで登っても最終的に頂上に辿り着くということです。

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ただし、登山ルートはそれぞれに特色があって、距離が長いけれども勾配が緩やかだったり、その反対だったり色々あるわけです。患者さんの立場で言えば「自分にとって一番登りやすい登山ルートはどれか?」。つまり自分の脳にとって相性のいいアプローチは?遺伝子検査等によって、「あなたの脳にとって最も相性のいい五感の入口は聴覚です」と分かれば、音楽療法を選択すればいいということになるわけです。

運動器の慢性疼痛を抱える患者さんにとって、現状は由縁節理の分かりやすさと絶対数の多さから触覚や運動覚の入口から登る人が多いわけですが、一方で麻酔の手を借りる方もいらっしゃいます。痛消山のふもとには局所麻酔という名の村があり、そこにあるヘリポートから五合目までヘリで運んでもらえます。さらに同村の隣には全身麻酔という名の村があり、そこから飛ぶヘリコプターは一気に頂上付近まで運んでくれます(つまり手術です)。

慢性痛に対して行われる手術の除痛メカニズムを考える際、パーツの修理や交換が除痛に繋がったのか、それとも全身麻酔が除痛をもたらしたのか、これについて検証したアメリカの実験によれば、その答えは後者である可能性が示されています。変形性膝関節症の患者さんを集めて、偽手術(全身麻酔下に皮膚を切って縫合するだけ)を行ったグループと本物の手術を行ったグループの術後成績を比較したところ、まったく違いは見られなかったというのです。

この事実から「手術の効果はプラセボ効果(思い込み効果)と全身麻酔による脳の鎮静化に過ぎない」というのが私の見方であり、近年のEBMの成果(骨の老化や変形、軟骨の変性、椎間板の変性やヘルニア、脊柱管狭窄等は正常人にも見られる生理的な変化)が私見の確度を高めています。

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症をはじめとする脊椎疾患、膝や股関節の変形性関節症等々の画像診断を受けた方々に保存療法を行った場合、治療に反応する人もいれば、反応しない人もいて、結果は様々です。保存療法の側(医療者)の視点は、構造上の問題レベル(変形の進行程度)と痛みの強さは相関しませんし、さらに改善指数とも相関しません。

「画像上の変化が小さいほど保存療法に対する反応も良好」と思われがちですが、実際は違います。たとえば、変形性膝関節症という画像診断を受けた際、現実には極めて軽度の変形しかないにも拘らず、極めて強い痛みを訴えると同時に、治療に対する反応も悪いというケースがあるのです。

私はこれまで、ことあるごとに「現代医学は形態学上の診断と痛みの原因診断を混同させている」という私見を披歴してきましたが、その真意には「将来的に変形因子に関わる遺伝子が発見され、そのメカニズムが解明されることで、骨格の変形や組織の変性と痛みはイコールの関係ではないことが証明される」という予見が内包されているのです。

つまり「変形因子と痛み因子を切り離す視点」が、これからの医学には必要だということです。

仮に全盲のお年寄りに変形性関節症があった際、レントゲン、MRI等による画像を“見る”ことはないわけで…。医師から画像診断を聞かされることがなければ、つまり“それ”を知らされることがなければ、保存療法に対する反応は相当に良好であろう-五感の登山道から登頂しやすい-と私は想像します…。

同じ画像診断を受けても、その受け止め方は人によって違います。非常に深刻に受け止める患者さんもいれば、そうでない患者さんもいます。医師の説明内容やシャーカステンに掲げられたレントゲン写真やMRI写真が脳裏に焼きついて離れない人もいれば、ほとんど覚えていない人もいます。

患者さんの側の問題ではなく、画像診断を告げる医師の側の姿勢(説明の仕方や口調)に拠るケースも、もちろんあります。過度な言い回しや高圧的な態度で、患者さんを追い詰める医師にたまたま出遭ってしまった患者さんもいれば、そうでない患者さんもいます。

あるいは人生の流れのなかで、医学情報に対する感受性が強くなっている時期-医療資格を得るための学校に入った…、自分と同様の病名で手術を受けた知人が身近にいた…、たまたまテレビでそうした番組を見た…等々のタイミング-にMRI検査を受けることになり、結果的に必要以上に深刻に受け止めて…というケースもあります。

そうしたなか、画像診断の烈々たる支配下に置かれてしまった患者さんは論理的な筋道として「手術によって構造上の欠陥を元に戻さない限り絶対に治るはずがない」という強固なとらわれを深層心理に抱えることになります。ですから、そういう方はたとえ五感の登山道(保存療法)を選択したところで、たいていは途中下山を余儀なくされ、最終的には全身麻酔村を目指します。

画像診断の呪いが解けない、すなわち認識そのものが切り替わらない場合はヘリコプターに乗るのが一番の近道…。ヘリコプターには気象変化や機体トラブルなど当然リスクはありますが、画像診断のとらわれが強い人にとっては、余計なことを考えたり悩んだりせずにヘリポート(手術室)に行くだけですから、時間および思考エネルギーの節約といった観点からも、一番スムースな選択肢だと言えます。

スポーツ選手や芸能人、政財界人など多忙を極める人が画像診断の支配下に置かれたならば、仕事上の理由からも手っ取り早くヘリポートを目指したくなるのも道理…。

一方で画像診断の外にある人は無論のこと、画像診断の支配から逃れることができた人は五感の登山道から頂上を目指すことになります。そのなかで見事登頂に成功した者は自分の足で登り切った経験からその後の人生の歩みが確かなものに…。

他方、全身麻酔村からヘリに乗った人たちの中で、再発の憂き目に遭った方は再び痛消山への登山を余儀なくされるわけですが、再び同じヘリポートに向かったところで、なかには搭乗を拒否されるケースも…。そういう方は割り切れない思いを抱えつつ、仕方なく五感の登山道入口を探すことになります。ところが五感のいずれに対しても深い安心感を抱くことはないわけですから、感情のねじれと共に脳の神経回路の代謝バランスはさらに崩れるという悪循環に…。

手術で満足いく結果が得られなかった患者さんにとって一番悩ましいのは、再発理由を論理的な筋道として受け入れることがむつかしいという点に尽きます。保存療法の現場のスタッフから「そもそも画像診断そのものに齟齬がある。EBMをはじめとする科学的な根拠として、画像診断イコール確定診断ではない。人間の痛みは心理社会的因子によって引き起こされるものが多く…。だから」と言われたところで、当の本人にとっては意味が分からない…。

ソフトペインを出している生体に画像検査を行うと偶然変形が見つかる。これが慢性痛における画像診断の真相」という理屈を許容することができず、画像診断そのものに誤りが包含されているという論理をどうしても受け入れることができないのです。「だって、骨が変形しているのだから、痛いに決まってるでしょ…」と。

「しかし、痛みのない人たちにも骨の変形はたくさん見つかるんです。変形イコール痛みではないんですよ…」と説明されても、府に落ちない人がほとんどです。説明者との関係性を顧慮して、波風を立てないように表面的には理性的な態度を装っていますが、深層心理にある感情は嵐のごとく吹き荒れて…。心理的な“とらわれ”が強過ぎるために、思考回路の柔軟性がなくなっているのです。

画像診断が100%ではないことを受容し、未来に向けて認識を切り替えることができれば、それが一番スムースな流れになり得ますが、それを認めることは手術に関わった全ての流れを否定することになるわけで…。多くの人にとって、過去の清算に伴う認識の転換というものはたやすいことではないと言えます。

世の中には人生初登山で偶然自分と相性のいい登山道を選択し、簡単に登頂してしまう人もいれば、その反対のケースになる人もいて、本当に様々です。もちろんヘリによる登頂後、一生涯痛消山を登ることがない人もいるでしょうし、そうでない人もいます。

いずれにせよ自分の脳がどういったアプローチと相性がいいのかを見極めることができれば大きな遠回りをせずにすむわけです。もっとも…、痛消山の登山ルートは多過ぎて…。ところが、なかには幸運な方もいて、たとえば大好きな趣味に没頭していたら、本人も気づかないうちにいつのまにか“登頂していた”というケースもあります。
 
私は五感を通して脳に働きかけるメカニズムの核心は“無意識下情報処理”にあると考えています。例えば人間の可聴域は20~2万Hzと言われていますが、この域外の音すなわち「耳に聞こえない音」のうち、3.75Hzの超低周波音や10万Hz以上の超高周波音が脳の血流を回復させることが報告されています(オルゴールセラピー/日本オルゴール療法研究所)。これと同じようなメカニズムがすべての五感処理に内在しているというのが私の見方なのです。

脳と五感の関係には個人差があると考えられるわけですが、なかでも最も汎用性のある入口は“触覚&運動覚”であり、なかでも老若男女を問わず、痛みの感受性の高い体質を含め、あらゆる臨床に使用できる際立った安全性と効率性を有するもののひとつにBFI があります。

先に挙げたように“触覚&運動覚”入口から続く登山ルートはたくさんの枝別れがあって相当数の登山道が伸びています-世界各国でリハ技術や徒手療法の開発がなされ、数多の選択肢があります-が、なかでも“BFI ルート”が最も安全性の高い登山道だというのが私の考えです。

その一方で、意識下情報処理すなわち「適正情報が促す認識の転換」によって、一気に登頂してしまうルートがあります。実は痛消山のふもとから頂上までを結ぶケーブルカー(イメージ図ではゴンドラリフト)があるのです。先日(2015年7月12日)放映されたNHKスペシャル「腰痛・治療革命」で紹介されていた「映像を見るだけで腰痛が改善した」という例が一番分かりやすいと思います。

無症状の人に骨の変形が見られる割合は40~59歳で59%、60~80歳で93%です。これだけ多くの正常人に変形があるのですから、痛みと無関係であることは明白です。またヘルニアの9割は自然消滅するので手術の必要はありません。腰痛の原因は脳による幻の痛みに過ぎないので恐れることないんです。腰痛は怖くない!」という趣旨の動画(手術の権威自身が語る映像)を175名の腰痛患者に見せたところ、なんと4割近い人たちが改善したというものです。

「痛みの原因は肉体の問題ではなく、脳の誤作動に過ぎない」という新たな展開に「なるほど、そうだったのか」と柔軟に認識を変えることができると同時に、それによって深層心理にある感情回路に“安心感”が芽生えた人だけが、ケーブルカー駅での切符の購入を許されたというわけです。“骨の変形”への思い込み、固執、とらわれが強い人は切符を買うことができなかったということです。

こうした「脳と痛みの関係」を前提に、脳に働きかけるために開発された世界初の徒手医学がBFI です。これまで明確に脳をターゲットにした徒手医学というものは存在しませんでしたが、BFI の開発者による「痛み記憶の再生理論」は今、静かに人知れず痛みの世界を変えつつあります…。

ケーブルカーに乗れなかった人は「脳と痛みの関係を知っても、自身の納得や安心感に結び付かなかった」と言えるわけですが、少なくともこれまでの常識とは違う流れがあることは認識しているはずですから、そういう方がBFI ルートの登山を選んだ場合と、そういう知識がないままBFI ルートを選んだ場合とでは、登頂までの時間が多少変わってきても良さそうなものですが、私のこれまでの臨床経験においてそうした傾向は、実はあまり強く感じておりません。

BFIに反応する人と反応しない人の違いは、そうした認識の問題とは別次元の要因に因るものが多いと感じています。おそらくデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の性質の違いだと私は考えています。

DMNについてはこちらのページで解説していますが、これに関する私の仮説は「意識と無意識の境界にあって情報のやり取りを調節している神経ネットワークがDMNであり、無意識下の情報を意識に上げる際の調節弁(チャネル)と考えられる」というものです。

私論に従えば、無意識下情報処理によって運動覚が変化する-たとえば閉眼時の肘屈曲時、実際の角度と自分が感じる角度の誤差が小さくなる(BFIの効果として特筆すべき現象)-と、そうした情報の変化が意識に上るためにはDMNの“運動覚チャネル”が開く必要があります。

これが開くことで初めて無意識下の情報が意識に上るのです。「あっ、治療前よりしっかりと角度を感じやすくなった」と実感することができるのです。

このとき、運動覚チャネルと別の場所にある“ポジティブ感情チャネル”が同期するDMNを持っている人では、運動覚の変化と同時に安心感を生みだすポジティブ感情(あっ、身体が変わった。すごい。これで自分はきっと大丈夫…)の回路が賦活することで、痛み回路の鎮静化に繋がります。

ところが、運動覚の変化を感じてもポジティブ感情が醸成されない人は、身体の動きが良くなったことを感じても、痛みの改善は自覚しません。だからこそ、うつ病の痛みは治療がむつかしいと言われているのです。

最終的に無意識に近い深層レベルにある安心感、安堵といった感情回路の賦活が、痛み回路の遮断を促すわけですが、世の中にはDMNの運動覚チャネルとポジティブ感情チャネルが同期しない人がいるようなのです。

一方で、運動覚チャネルとポジティブ感情チャネルが同期する人は、BFI の施術後に「姿勢が良くなった」「本来の重心で立てるようになった」「(楽器の演奏時)、自然と指が正しい場所に行くようになった」「視界が明るくなった」「歩き易くなった」等々の感想を抱くと同時に痛みの改善を自覚します。
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総じて子供のDMNは初期設定が維持されているケースが多く、BFIとの互換性が高い、すなわち有効率が極めて高いと言えます。

またDMNの領域と認知症の初期に見られる変性領域は一致していることから、DMNの機能レベルとBFIの効果には相関性があるのではないかと考えられます。

そもそもDMNに関する私の仮説が間違っていれば、こうした解釈はもちろん成立し得ないのですが、仮に正しいとした場合、2つのチャネルが同期する人と同期しない人を事前に見極めることができれば、BFI と脳との互換性を事前に察知することができるはず。患者さんにとって無駄なお金と時間を浪費しないですむということになるわけです…。

疼痛の改善を自覚しない患者さんに見られる無意識の抵抗反応を見極めることで、痛みが消えない理由を患者さん自身に明確に伝えることができます。

無意識の抵抗反応とは、たとえば施術後の体幹動作や歩行の検査(再確認)を行った際に、患者が無意識に行う痛み探査行動(施術前より明らかに可動域が回復した際に喜び感情を一切見せることなく、さらに可動域を上げて無理やり動かすことで疼痛を出そうとする、疼痛を探そうとする行為)や、微表情(施術後に鼻の両脇にしわを寄せる嫌悪の微表情をほんの一瞬垣間見せる)など、これら以外にも患者の無意識反応というものは実に多くの情報を施術者にもたらします。

脳が消費するエネルギーの大半を占めると言われる無意識の神経活動…。今後の脳科学は無意識レベルの研究が進むことで、これまでの常識を覆す知見が次々と報告されるはずです。人間の無意識の領域には痛みの謎を解き明かすための鍵がたくさん眠っている…、私はそう考えています。
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