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CRPS(RSD)-プロローグ-

2013/09/27

◆CRPS(RSD)を正しく理解するために-実際の症例から-

〈トップページ〉    当記事は「BFI研究会代表・三上クリニカルラボ院長」が執筆しています。

CRPS(RSD)についてはこちらのページ「痛みとは何か?-その深淵なる世界-」も併せてご覧ください。痛みの最新学説「ハードペイン・ソフトペイン・ハイブリッドペイン」を知ることで理解しやすくなります。

本題に入る前に、最も安全で確実な治療法のひとつをご紹介します。


下の写真は右足部に発症した小児CRPS(RSD)。あまりの激痛に「この足を切り落として欲しい」と訴えていた重症例。その回復期リハにおけるミラーセラピーの様子です。

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当方の施術「BFI(ブレイン・フィンガー・インターフェース)」で痛みを改善させた後、患部の筋委縮に対してミラーセラピーを応用した筋出力誘導を行っているところです。「健側の力強い動きが患側に起きている」という“鏡像錯覚”による視覚フィードバック、さらに触覚・運動覚の複合フィードバックを利用して脳の可塑性を促します。このように“脳にアプローチする視点”により極めて安全かつ効率的なリハを行うことができます。

下は2018年5月にTBS系列「林先生が驚く初耳学」の番組内で流された映像(オリジナル動画)です(➡提供:三上クリニカルラボ

 

 

※CRPS(RSD)に対する回復期リハは痛みのコントロールが十分に為されて後、患者さん自身の恐怖心や不安感が解消もしくは小さくなったことを確認したうえで行われることが望ましい。


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(ミラーセラピーの実際についてはこちらのページ


数ある痛みのなかでも、非常に複雑な病態を示すCRPS(RSD)。この疾患群に対する正しい認識を持つためには、まず「痛みと神経の関係」、さらに「痛みと自律神経の関係」、そして「交感神経の働き」について最低限の知識を持つことが必要です。


当記事は患者さん向け、医療者向けの両視点から執筆されています。

尚、筆者はCRPS(RSD)の病態について、痛み中枢の活性化(※)痛み記憶を形成する機能的ニューロン集団(セル・アセンブリ)すなわち痛み回路の過活動、およびボリューム伝達における非シナプス受容体の増殖反応-と、交感神経の機能異常という2つの病態が基礎にあると考えています。

(※)…脳の情報処理プロセスにおいて創られる痛み。過去の記憶や体験によって感覚を自動補正する“脳内補完”の一種と考えられる。肉体の部品(ハード)の問題ではなく、脳内アプリケーションソフトの次元であることから“ソフトペイン“と呼ばれる。


CRPS(RSD)について考えるとき、“痛み”と“交感神経の問題”を同軸の時間系列で見てしまうと、難解な病像になってしまうのですが、大胆にもこの2つを切り離して考えると、すなわち「2つの問題が一個体内において偶発的あるいは何らかの相関反応を伴って同時発生している」という仮の捉え方をすることで複雑な病態を理解しやすくなります。


“痛み”が臨床像の前景に立つ場合は「痛み中枢の活性化(ソフトペイン)」がメイン、“腫脹、浮腫、充血、阻血、委縮等”が前景に立つ場合は「交感神経の機能異常」がメイン
であるというのが筆者の見方です。



【CRPS(RSD)交感神経タイプ】👇
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【CRPS(RSD)痛み中枢タイプ】👇
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【CRPS(RSD)典型タイプ】👇
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動的時間軸の考察からは、“痛み”と“交感神経の問題”が同時に並立する時期、前者あるいは後者の病態が相対的に強い(あるいは弱い)時期、前者あるいは後者のみが現出する時期があるため、交感神経に関わる検査や治療を行った時期によって、SMP(交感神経関与の状態)、SIP(交感神経が関与しない状態)といった違いが生み出されているというのが筆者の見方です。

このとき、【痛み中枢の活性化】あるいは【交感神経の機能異常】の両方、あるいはどちらか一方が極めて強固な状態に達し、不可逆的な変性に陥っているものをCRPS(RSD)完全型、可逆的な変性にとどまっているものをCRPS(RSD)不全型と呼んで、独自の分類をしています。

BFIの臨床データでは 完全型より不全型のほうが圧倒的に多く、不全型のほとんどが適切な治療によって完治し得るものです。ただ、最近の動向として、一部に過剰診断の傾向が認められる一方で、不適切な介入による悪化例も散見されます。



またCRPS(RSD)発症には準備体質とも言える“前駆状態”があると、筆者は考えています。

そうした生体では筋肉や関節に負荷が加わった際の“抗力の低下”および“疼痛感受性の増大”が見られます。例えば、一定の姿勢を維持し続けることが極端に辛く感じるようになったり、正座に耐えられる時間が以前より短くなっていたり、運動後に体調が悪化しやすくなったりするケースです。

通常は筋や関節への負荷が増すと、そうした情報が脳内で処理されることで筋出力応答が高まります-中身の分からない段ボールを持ち上げようとした際、予想より重たかったとしても、脳は瞬時に反応して筋出力を上げます-が、脳の情報処理システムに問題を抱える生体ではそうした反応が遅れたり、翌日に以前より強い筋肉痛が現れたりします。

また同じ運動、同じ作業を長時間続けることが困難-すぐに不快な痛みを感じて中断を余儀なくされる状態-となり、結果的に筋持久力の低下を来たします。脳の働きにおいて負荷レベルに応じた適切な反応ができなくなると同時に、以前より強い痛みを感じやすくなってしまうのです。

このように脳の情報処理システムの問題として“筋出力応答の失調”および“疼痛感受性の増大”を来たしている生体を指して、筆者は“CRPS(RSD)体質”と呼んでいます。

“体質”という言葉は実態にそぐわない表現ですが“脳質“という言葉がないので…。あくまでも便宜上の造語ではありますが、痛みの臨床では13割の患者さんにCRPS(RSD)体質が認められます(筆者のデータ)。


平成17年4月20日読売新聞は『介護保険法改正案の目玉 介護予防「筋トレで悪化」16% 厚労省「向かない人いる」』という記事を掲載しました。

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介護予防の目的で、要支援や要介護1・2のお年寄りに筋トレをさせたところ、要介護度の判定が悪化してしまった人が16%もいたというのです。

ちなみに右手の握力は40%が悪化し、全身の身体機能は28%が悪化したとのこと。おそらく筋トレのやり方を工夫することで悪化率を下げることは可能でしょうけれど、筋トレと相性の良くない脳を持っている人が一定の割合で存在する事実に変わりはありません。

このように筋トレで悪化してしまう人たちが筆者が言うところの“CRPS(RSD)体質”であり、事実その数字は筆者の臨床データと符合します。もちろんCRPS(RSD)体質を持っている方の全てが実際に発症するわけではありませんし、後述するように脳の可塑性により体質(脳の情報処理性能)そのものが自然と良くなってしまうケースもあり得ます。

人生の荒波において心身環境因子が強くなったそのタイミングで、脳の情報処理能力を超える刺激介入を受けた際に発症のリスクが高まってしまうのだと、筆者は考えています(なかには前駆状態が極端に短く、表面的には突然の発症に映るケースもあります)。



ちなみに筋肉を鍛えることの真の意義は「脳を活性化させること」にあるというのが筆者の考えです。手段がどうあれ最終的に脳の活性化が為されると、自ずと筋出力や筋協調性が回復するからです。

したがって昨今テレビで紹介されている認知症予防のデュアルタスク(例えば替え唄を歌いながら同時に体操をする等々)を課す方法はロコモティブシンドロームにも有効であると考えられ、「筋肉を鍛える」という概念、手法ではなく、「脳を鍛える」という概念にシフトすることが今後の介護予防においても、また認知症予防においても肝要ではないかと筆者は考えています(ロコモティブシンドロームには相当数のCRPS(RSD)体質が包含されている)。

運動器の維持、回復を考える際、現状のごとき“筋肉ありき”ではなく、これからは脳に比重を置くことで、CRPS(RSD)体質の方も含め、年齢に関わらずより多くの人々がより安全に目的を達することができるはずです。

ただし脳を活性化させる手段、方法は種々ありますので、自分の脳との相性を見極めることも重要です。一番大事なのは「自分に合ったやり方」を知るということ…。筋トレと相性のいい脳を持っている人もいれば、音楽と相性のいい脳、あるいはペットと相性のいい脳を持っている人もいます。アスリートの次元を除外するという前提で言えば、筋トレに頼らずとも五感を入り口にして脳を活性化させることで必要十分な筋力を回復あるいは維持させることが可能だということです。少し横道に逸れました。本題に戻ります。



基本的に CRPS(RSD)体質の方は脳内の痛み処理にエラーが発生しやすい-疼痛耐性が落ちている-ため、痛みを感じさせ得る介入手段すべてが禁忌となります。

暴力的な矯正術、トリガーポイントへの強刺激、牽引、強い指圧やマッサージ、筋負荷のかかる運動療法、加圧トレ等々を行うと、局所の痛みのみならず全身の運動機能や自律神経機能が不安定になります。

痛み止めの注射や点滴も悪化要因、発症要因となります。過去にこうした介入によって状態が不安定化、悪化した経験を持つ方はCRPS(RSD)体質の疑いがありますので、強刺激的な治療手段および侵襲的な介入は避けたほうが無難と思われます。

CRPS(RSD)体質の患者さんが手術を受けると、術後に不安定な現象が現れやすくなりますので、とくに椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった痛みの原因診断に齟齬を孕む疾患群では慎重な判断が求められます。

医療者と患者さんの双方にとってCRPS(RSD)体質および「痛み記憶の再生理論」等の情報が“判断”の一助となれば幸いです。

以上の視点を踏まえ、実際にCRPS(RSD)を発症している方に対しては、筋トレの類(負荷を加える手法)は絶対的に禁忌となります。ほんのわずかでも痛みを起こさせる治療行為も禁忌であり、とくにアロディニアに対しては厳重な疼痛管理が求められます。

最初の診察の、最初の触診で配慮のない触り方をして疼痛を惹起させるようなことは避けなくてはなりません。触るという一見単純な行為においてさえも、医療者は自らの五感を研ぎ澄ませ、細心の注意を払う必要があるのです。

医療者にとって、たとえ“それが常識”と思える医療行為を行ったとしても、もし不測の事態(疼痛感受性の増大、筋出力応答の異常、腫脹の発生等々)を目の当たりにしたら、何よりもまずCRPS(RSD)あるいはCRPS(RSD)体質を疑う姿勢が求められます。

以前筆者が勤めていた整形外科での話ですが、CRPS(RSD)体質の女性を担当したあるリハビリスタッフが「この患者さん、イタガール…」と笑いながら冗談を言っているのを見たことがあります。そのスタッフはCRPS(RSD)の知識をほとんど持っていませんでした…

CRPS(RSD)あるいはCRPS(RSD)体質の方に対しては、痛みを感じさせ得るあらゆる治療行為を遠ざけて、患者さんの不安を徹底的に取り除いていくアプローチの先に恢復の未来があることをご承知おきください。

脳に働きかける種々医療のなかでも、筆者が行っているBFI(ブレイン・フィンガ-・インターフェース)は術者の指先で患者さんの全身の関節近傍を極めて繊細なテクニックで触れていくという徒手技術-究極のタッチケア-であり、際立った安全性と有効性を示しています。

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➡BFI研究会公式サイト


《下の動画は肘CRPS(RSD)に対するBFIの効果》




自律神経(交感神経と副交感神経)については本編で解説しておりますが、CRPS(RSD)に見られる腫脹や浮腫の原因は血管運動(血管を開いたり収縮させたりする働き)を制御する交感神経に何らかの問題があるからではと考えられています。

筆者はBFI の施術に際し、自律神経機能検査をルーティンに行っていますが、BFI が自律神経バランスを回復させる現象を日々の臨床で確認しています(⇒実際の数値変化はこちらのページでご覧になれます)。

BFI のごとき脳に働きかけるアプローチによって脳の情報処理システムが回復すると、自律神経機能が回復すると同時に痛み中枢の活性化が鎮静化します。その除痛メカニズムについては本編でも紹介しておりますが、より詳しい解説はこちらのページ「無意識下情報処理が痛みや関節拘縮を改善させる理由」をご参照ください。


さらに痛みが消失した後もメンテナンスとしてBFI を継続される患者さんに見られる特筆すべき効果として、CRPS(RSD)体質そのものが改善されてしまうという現象があります。

おそらくBFI に限った現象というわけではなく、何らかの介入によって脳のシステムが変化すればー脳の可塑性が高い次元で促されると-、CRPS(RSD)体質そのものが回復し得るのではと考えられます。


したがって、もしあなたがCRPS(RSD)体質だとしても、「一生激しい運動や筋トレができないのか、注射や手術が必要になった時にどうしたらいいのか」と悲観する必要はありません。脳の可塑性は予測不可能な面を持ち合せており、いついかなるタイミングでその扉が開かれるのかは分からないからです。事実BFI がその扉を開くことが既に実証されています。


BFI のみならず、前述したように、あなたの脳と相性のいい何らかの方法が見つかれば、扉は開かれます。自らの五感力を駆使して、“脳が喜ぶこと”を試していけば、いつかきっと鍵が見つかるはずです。

尚、不全型と完全型の区別については、理学所見のみでおおよその判断がつきますが、BFI に対する反応を見ることで、その確度が高まります。完全型は筆者の治療にほとんど反応せず、そのため適応外となります。

精神疾患を合併していない症例であれば、不全型のほとんどが筆者の治療で確実に治癒します。

本編に進む前に以下にCRPS(RSD)の症例を写真で紹介しておきます。症例1)が完全型、症例2)以降はすべて不全型です。

 




◆症例1(完全型)
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症例1)は左手首の捻挫(舟状骨骨折疑い)後に発症したCRPS(RSD)完全型。左写真は発症2週間後(左手全体に浮腫、発赤、皮膚光沢、皮線(しわ)の減少が見られる)。X線写真は左が患側(典型的なズディック骨萎縮)。右の写真は2ヶ月後(筋、皮膚、骨の委縮が顕著。手首から先のほとんどの関節に強固な拘縮)。廃用手に近い状態。BFIに反応せず、当方のカウンセリングによって失感情症の重症例であることが推断された。 



 ◆症例2(不全型)
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症例2)は嫁姑問題が根底にあり自宅にいる時間を少しでも短くしたいという無意識に近い心理が働き、3つのパート勤務かけもちのほか習い事やカルチャースクール等々によって1週間のスケジュール表が完全に埋め尽くされている女性。「時としてケガや病気は命を守るためのブレーキ」という当方の「光の解釈カウンセリング」を受けて、自身のスケジュール管理を見直すと同時にBFIを続けることで早期の回復につながった事例。



◆症例3(不全型)
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症例3)は先に紹介した筆者の実母。発症の1年半前から同居していたこともあり、年単位におよぶ24時間密着の観察によってCRPS(RSD)発症メカニズムの解明につながった貴重な症例。脳が生み出す激痛-痛み回路の凄烈な過活動-はうつ病や認知症を回避するために脳が自ら行う自衛措置であることが、BFIの臨床データから推論されていたが、図らずも私の母親がこの論点の正しさを立証する羽目に…。

精神のねじれ(本当はこうしたいのに、そうせざるを得ないという無意識に近い葛藤)は脳恒常性にダメージを与えて脳疲労を増悪させる。そしてこれが長期にわたると、うつ病や認知症のリスクが跳ね上がる。

しかし患者さんが密かに抱える「精神のねじれ」を医療者が見抜くことは簡単ではない。自身の心の渕に潜む内実を言語化できる患者さんは極めて少数…。

また失感情症の方は自身の気持ちの変化、感情の浮き沈み等を自覚することが苦手なため、脳と痛みの関係性を現実的に体感することがない。一般に夫婦喧嘩のあとで腰痛が出たら、「なるほどそういうことか」と実感できるわけだが、失感情症の方はそもそも夫婦喧嘩にならない(しない)傾向が強く、自身の感情を開放する術を持たない。つまり「感情の乱れ➡心身の不調」という経験値がゼロに近い。そのため、痛みの発生メカニズム(メンタルの負担→脳疲労→痛み)を理解することは困難。

症例1(完全型)の患者さんはまさしくその典型例であり、筆者の母も同じ失感情症の傾向を持っていたが、幸いその程度が軽かったため、最終的に完治するに至ったと推断される。母はCRPS(RSD)重症例でありながら、およそ10カ月という短期間で完治したが、その理由として、CRPS(RSD)の専門家たる息子、すなわち施術者と患者の関係が親子だったこと、そして極めて早期に診断治療を行うことができたことが臆断される。

脳可塑性(brain plasticity)の発現は失感情症や失体感症の程度に左右されるという認識が筆者にはある。したがって自閉スペクトラムのみならず、今後は失感情スペクトラム、失体感スペクトラムという概念も必要。


 

 ◆症例4(不全型)
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症例4)は会社の吸収合併に伴い、本人が所属する部署の職員が次々に辞めていく中、自身も辞めたいと思っていたが、自宅を購入したばかりで決断できずにいる最中に発症。脳と痛みの関係を理解するに至り、CRPS(RSD)の現状を上司に粘り強く説明することで1か月の休職が認められ、その期間のほとんどを当方への通院に当てる。その後、紆余曲折を経て転職に成功。9か月後に完治。 



 ◆症例5(不全型)
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症例5)は症例2)と似たケース。ピアノや英会話等々のハードスケジュールの中、パート勤務先での人間関係のトラブルに巻き込まれ、抑うつとなる中で骨折。2軒目の整形外科医から「自分で努力しないとダメだよ、気力をふり絞って歩かないと治るわけない!」と頭ごなしに怒鳴られて以来、夜間痛が増悪して不眠状態となる。外傷管理ならびに疼痛管理の基本が分かっていない医療者(というより、そもそも人としてどうなの?という次元だが…)による医原性CRPS(RSD)の典型例。BFIの継続により約1年後に完治。



 ◆症例6(不全型)
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症例6)は高齢の登山愛好家に発生したCRPS(RSD)交感神経タイプ。終始一貫して痛みは些少であり、熱感とむくみだけが前景に立ち続けたケース。ひとり息子がひきこもりになっており、その息子とトラブルになるたび不整脈が現れていたが、当方のカウンセリングとBFIによって回復。交感神経の機能異常(熱感やむくみ)も改善し、軽いハイキングができるまでに…。

本症例はMCI(軽度認知障害)を合併していたが、これに関しても見事なまでの恢復を示した。BFIは認知症の不穏を改善させたり、MCIを回復させたりすることが分かっている。 



 ◆症例7(不全型)
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症例7)は「患部を見て人を見ない-木を見て森を見ず-」が招く悲劇の典型例。CRPS(RSD)に対するハードペイン(神経障害性疼痛)という思い込みがいかに患者さんの人生を狂わせるかを如実に物語る事例。

本人のメンタルに極めて深刻なダメージをもたらす大事件-愛する独り娘から“いわれなき絶縁状”が突然送られてくるという衝撃的な出来事-の発生と、手術のタイミングがたまたま重なったために、自律神経の乱れ(交感神経の機能異常)が皮膚変化をもたらし…。これを神経癒着による症状と早計した執刀医による神経剥離術が、あろうことか三度も繰り返された結果、異常なほどの灼熱痛に襲われる地獄の日々が。

そしてSCS(脊髄刺激療法)に救いを求め、電池内臓の装置を体内に埋め込むことに…。ところがトライアルのときは効果があったものの、いざ実際に体内に埋め込んでみると、その後は効果が現れず、「今では通電スイッチを入れることはほとんどないんです…」と。

当方の問診傾聴、カウンセリングによって、本症例は失感情症と失体感症を合併する発達個性(※)であることが判明。

※発達個性…筆者は「発達障害」という病名の撤廃を主張している。障害ではなく、あくまでも個性である。脳における神経回路の発達に偏りがあるため、一芸に秀でる(天才的な能力を秘める)一方で、脳のエネルギーバランスが崩れやすいという特性を持つ。

当方での2年以上にわたる粘り強いカウンセリングとBFIによって地獄の日々にようやく終止符が打たれた。以下がその実際の写真。

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とは言え、筆者にとって本人の謎を解いていく過程は、問診傾聴やカウンセリングの中で何度も地雷を踏みつつ、患者さんとの信頼関係の維持と決裂のあいだを行き来する消耗戦であった。

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本症例においては失感情症、失体感症ともに非出力タイプであり、失体感症のほうがより重度であった。

「これまで生きてきて、疲労感というものを一度たりとも感じたことがない。CRPS(RSD)を発症するまで慢性痛の類(腰痛、頭痛、肩こりなど)も一切感じたことがなかった。お腹の調子を崩したこともない。胃痛、胃もたれ、腹痛といった経験は一度もない。口渇も感じないので、ふだん水を飲むことはない」

と、典型的な脳疲労マスキング(疲労感なき疲労)の体質であり、突然死や過労死のハイリスクタイプであったが、CRPS(RSD)発症すなわち痛みという“感情解放”によって、脳疲労の回復が促され、結果として命が守られたというのが筆者の「光の解釈」である。




➡「痛みとは何か?-その深淵なる世界-」







◆症例8(不全型)


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